古くから旅立ちのお茶、福を呼ぶ茶としても知られる、ぶくぶく茶についてご紹介します。
ぶくぶく茶とは
琉球茶道ぶくぶく茶、その由来と特徴
ぶくぶく茶とは、煎った玄米や白米を煮出した湯を大きな茶筅で泡立てて、さんぴん茶(ジャスミン茶)など茶湯の上に、ソフトクリームのようにこんもり乗せて泡ごと楽しむお茶です。福福茶とも書き、まるで入道雲のようなさわやかな見た目は、福を呼ぶお茶として古くは琉球王朝時代のおもてなしの席で、戦前には旅立ちや新築祝いなどのお祝いの席でふるまわれ、親しまれてきました。
ぶくぶく茶は日本各地に残る振茶(ふりちゃ)の一種といわれています。昭和62年に琉球茶道として確立、沖縄独自の茶道として継承されてきました。振茶の中で作法が確立されているのは、ぶくぶく茶だけです。
振茶(ふりちゃ)とは
振茶(ふりちゃ)とは、日本各地で楽しまれてきた、抹茶以外を茶筅で泡立てて飲むスタイルのお茶の総称です。主に番茶などを使用するため、庶民の茶と呼ばれることもあります。
古くは室町時代にも記録があり、江戸時代には禁止令が出るほど全国的に広まり、独自のスタイルが生み出されていきました。
古くは室町時代にも記録があり、江戸時代には禁止令が出るほど全国的に広まり、独自のスタイルが生み出されていきました。
現在では、新潟県および富山県の一部に残るバタバタ茶、島根県松江市のぼてぼて茶、奄美大島徳之島に残るふり茶などがあります。
ぶくぶく茶の歴史
ぶくぶく茶は、16世紀以降に薩摩経由で琉球王国にもたらされました。1719年、第13代尚敬王(しょうけいおう)の時代に中国からの使節である冊封使(さっぷうし)をもてなす席で供されたという記録が残っています。
その後、旅立ちや新築祝いなどのお祝いの席から徐々に庶民の間で一般化されていきました。一時はその歴史も廃れましたが、様々な努力により復活、昭和62年に琉球茶道として確立したのです。
ぶくぶく茶の特徴
ぶくぶく茶の特徴は二層式
赤い茶碗で供されるぶくぶく茶は、ソフトクリームのようにこんもりとした白い泡が特徴です。 また、この泡は別に点てて、椀に入れた茶(さんぴん茶)にのせてから客に供するところも、ぶくぶく茶の特徴的なスタイルです。
ぶくぶく茶の飲み方
この白い泡を楽しむためには、まず、両手でお椀を持ってふんわりと盛られた泡を頬張って楽しみましょう。泡が少なくなったら下の茶湯を啜ります。
飲むというよりも、泡を楽しむことがこのお茶の特徴です。
ぶくぶく茶独特のお道具紹介
一般的な茶道と共通のものもありますが、ぶくぶく茶ならではの独特の道具も多いです。主なものを紹介します。
東道盆(とぅんだーぼん)
琉球漆器の代表的な赤い器で、もともとはおもてなしの器として使われていました。
中国の史書による「東道の主」に由来しており、主人となって客をもてなすることを意味します。琉球茶道ではこの中に赤い椀を3つ収めて使用します。
蓋は裏返せばお盆としても使用できます。
中国の史書による「東道の主」に由来しており、主人となって客をもてなすることを意味します。琉球茶道ではこの中に赤い椀を3つ収めて使用します。
蓋は裏返せばお盆としても使用できます。
ぶくぶく鉢
沖縄の木材テリハボクでできた木製の鉢です。
この中でぶくぶく茶を泡立てます。
この中でぶくぶく茶を泡立てます。
茶筅
長さ約25㎝ほど、直径6-7cmほどの大きさがあります。
千利休や武家流と同じ竹製です。
千利休や武家流と同じ竹製です。
鶴の懐紙
鶴の形に折った懐紙はぶくぶく茶独特のものです。
茶菓子などを乗せて使用します。
ぶくぶく茶の材料と作り方
ぶくぶく茶の材料
ぶくぶく茶は前述したように二層式のお茶です。
上に乗せる泡を建てるぶくぶく液は、炒った米とさんぴん茶(沖縄のジャスミン茶)、番茶を使用して作ります。
過去には玄米を使っていたそうです。
下層の茶湯は一般的にはさんぴん茶を使用します。
一方、ジャスミン茶は中国で飲まれているお茶であり、緑茶を代表とする不発酵茶を使用しています。不発酵茶は烏龍茶や紅茶よりも渋みや苦みが強いのが特徴です。
上に乗せる泡を建てるぶくぶく液は、炒った米とさんぴん茶(沖縄のジャスミン茶)、番茶を使用して作ります。
過去には玄米を使っていたそうです。
下層の茶湯は一般的にはさんぴん茶を使用します。
さんぴん茶と効能
沖縄で親しまれている「さんぴん茶」は、中国の「ジャスミン茶」とよく似ていますが、実は茶葉の種類や作り方は少し異なります。
さんぴん茶は、半発酵茶にジャスミンの香りをつけたもので、日本人向けの薄めの味わいが特徴的です。一方、ジャスミン茶は、緑茶にジャスミンの香りをつけたもので、ジャスミン独特の花の香りがあります。抗酸化作用や血圧降下作用などの健康効果も期待されており、リラックス効果もあるため、沖縄では長寿に繋がるという言い伝えもあるそうです。
さんぴん茶は、半発酵茶にジャスミンの香りをつけたもので、日本人向けの薄めの味わいが特徴的です。一方、ジャスミン茶は、緑茶にジャスミンの香りをつけたもので、ジャスミン独特の花の香りがあります。抗酸化作用や血圧降下作用などの健康効果も期待されており、リラックス効果もあるため、沖縄では長寿に繋がるという言い伝えもあるそうです。
さんぴん茶とジャスミン茶の違い
なお、さんぴん茶の名前の由来は「山片」という中国語からきていると言われており、山に自生する野草や花などを意味する言葉であることから、もともと山に咲くジャスミンの花を使っていたことが由来とされています。
一方、ジャスミン茶は中国で飲まれているお茶であり、緑茶を代表とする不発酵茶を使用しています。不発酵茶は烏龍茶や紅茶よりも渋みや苦みが強いのが特徴です。
ぶくぶく茶道のお手前
琉球ぶくぶく茶のお点前には、大きく分けて「立礼」「座礼」「冷茶」の3つがあります。ここでは基本となる「立礼」のお点前の流れを紹介します。
ぶくぶく茶立礼手前の基本的な流れ
1.開始の挨拶
扇子を手に持ち、来訪のお礼の口上を述べます。
2.入場
建水(水を捨てる道具)を持ち、席に着きます。
3.茶碗を清める
右側奥の東道盆(とぅんだーぼん)の中の茶碗を、水差しの水と茶巾で吹き清めます。
4.一回目の泡立て
客にお菓子をすすめてから、ぶくぶく鉢でぶくぶく茶を泡だてます。
5.茶碗に茶湯を準備する
柄杓を使い、茶釜の中の茶湯を3つの茶碗に汲み入れます。
6.二回目の泡立て
再度ぶくぶく鉢の中でぶくぶく茶を泡立てたら、3つの茶碗の上に均等に乗せます。
乗せ終わったら、茶碗を順番に半東(はんとう)が持つ盆の上に置いていき、客に供します。
乗せ終わったら、茶碗を順番に半東(はんとう)が持つ盆の上に置いていき、客に供します。
7.仕舞い
戻ってきた茶碗を水差しの水と茶巾で吹き清め、東道盆(とぅんだーぼん)に戻します。
使用した茶器を順番に水屋に移動し新しいものと交換したら、建水を持って退場します。
使用した茶器を順番に水屋に移動し新しいものと交換したら、建水を持って退場します。
8.終わりの挨拶
建水を扇子に持ち替え、茶事に参加してくれたお礼の口上を述べます。
ぶくぶく茶、どこで飲める?どこで学べる?
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ぜひ沖縄伝統の琉球茶道をご一緒に楽しみましょう。