着物の白いしつけ糸、とっていい?とっちゃだめ?

 


着ていないまま頂いた着物や、リサイクル店で新品同様で購入した着物に細い白い糸しつけ糸が残っていて、どうしたらいいいのか悩んだことはありませんか?

また、逆に苦労してしつけ糸をとったら、なぜか布がばらけてぶかぶかになってしまってどうしよう?というお悩みを聞くこともあります。

実は、着物には、取るべき仕付け糸と取らない方がよい仕付け糸があるのです。
 

とらなければならないしつけ糸「大小しつけ」


大まかな縫い目と細かい縫い目が交互になっているしつけ糸、これはとってよいものです。これは「大小しつけ」といって、着物を仕立てた際に、実際に着るまで型崩れを防ぐためのもの。
だいたい、袖や襟、裾などに施されていることが多いです。

この「大小しつけ」はとらないままにしていると、「着物のことをよく知らないのね」と思われてしまう危険があるので、着る前にちゃんととっておきましょう。

なお、襦袢のしつけ糸も、だいたいは型崩れを防ぐためのものですが、型崩れを防いでくれるので薄い色で目立たないようならつけていてもよいと思います。


とってはダメなしつけ糸「飾りしつけ(ぐししつけ)」


細かく均等な縫い目で縫われているものは、とってはダメなしつけ糸。掛け衿の部分、袖口、衿下、裾などに施されていて、白い糸が使われているものの、着物の縫い目を抑える役目があり、とってしまうと縫い目がぶかついてしまいます。
主に格の高い、黒留袖や色留袖、訪問着などにはついていることが多いようです。

あとは、襟の裏などに、もう少し粗目の縫い目でしつけがついているときもありますが、裏のものはなんらかの理由があって縫われていることが多いので(例えば、縫い目を抑えるためなど)表から見えないものはとる必要はありません。一見大小しつけに見えるものもあるので、注意してくださいね。
 

これだけでOK!とるしつけ糸ととらないしつけ糸の見分け方


縫い目が荒いものはとる、細かいものはとらない


ざっくりまとめるとこんな感じ。
これで判断すれば、まず大丈夫だと思います。

右側の縦のものが大小しつけ、左側の横にまっすぐ縫われているものが飾りしつけです。
こうやって比較すると、わかりやすいのではないでしょうか。

 

着物のしつけ糸の正しいとり方


とりやすいようにざっくりと縫われている大小しつけでも、乱暴に引っ張ると布を傷めたり引っかけたりする危険があります。ハサミで切るときにも注意が必要です。

大小しつけはだいたい長い1本の糸になっているので、以下のようにとると安心ですよ。

1. まず、しつけ糸の端を探してちょっと引き出す
2. 着物地とから糸を浮かせて、ハサミで切る
3. 無理に引っ張らず、ゆっくり丁寧にしつけ糸を抜いていく

 

しつけのついている着物は、仕立てられてもあまり着られていないか、仕立て直しをするほど愛された着物がほとんど。ぜひ大事に着てあげてください。