着物警察、遭遇したことありますか?

 

着物警察とは

着物警察とは、初心者の着物の着付けやコーディネートなどにダメ出しをしてくる着物の上級者のことです。面識のない人から着物の着方に同意なしで手直しされたり、勝手に直されたり、注意されたりすることで、 着物に対してネガティブな印象をもってしまう初心者も多いといわれています。

 

着物警察、会ったことある?


白状すると、実は私は着物警察に会ったことが一度もないんです。

よく聞きますよね。
好きに着ているのに、知らない人にあーだーこーだ言われたってお話。
勝手に帯を直されたり、こうであるべきとお説教されたりとか。
好きな着物を好きなように楽しんでいるのに、考えるだけで気持ちが滅入るのわかります。

で、ちょっと考えてみたのです。
どうして私は着物警察に遭遇したことがないのか。

見た目が怖いから、とかいう意見は受けつけません
きっぱり)


初心者感が原因?

実は、私、洋服MIXとかしたことがありません。たまに足元が悪い時はブーツを履いたりはするけど、以前の記事にも書いたようにむしろ歩きにくいのであまりやりません。

そういう意味では割と普通のルールで着ていると思います。

それから、紬とか綿とか麻とかのおしゃれ着が多いです。訪問着とか付け下げとかフォーマルはあまり着ません。着るとしても、どっちかというと自分に合うようにアレンジしたり帯で遊んだりするせいか、あまりフォーマル感というかしゃんなりした雰囲気はないみたいです。


繁華街を歩いていると、よく「これから出勤ですか?」とか聞かれるといえばイメージしてもらえるのではないでしょうか(涙)

つまり、なんとなく玄人っぽいらしいのですね。

それって怖く見えてるのじゃないの?、という意見は受け付けません。きっぱり)

思い込みに負けないでいい

たぶんですが、着物警察の方って、しっかり着付けとか学んだり、花嫁修業的にルールとして覚えた人が多いのではないかと思います。だから「これが正しい!」っていうのが強いし、「間違っているから教えてあげないと!!」という意識が強いのかなあと。いや、それって勘違いでしかないんですけど。

その”教えてあげなきゃ”スイッチになるのが、初心者っぽく見えてしまったり、ルールを知らない人のように見えてしまう、なのではないでしょうか。
私の着付けも実は結構手抜きカジュアルですが、玄人っぽく見えるせいで、個人の勝手として認識されているのかな、とふと思いました。電車の中でおばさまにナンパはされても、文句は言われないし(笑)


某コロナウィルスで自営警察で嫌な思いをしている人も多いと聞きます。着物警察も似たようなもの。
 「正しい」を振りかざしていないかお互い気を付けたいですね。

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洋服で飲みに行くと「あれ着物じゃないの?」といわれてしまう普段着物研究家。
沖縄独特の茶道「琉球茶道ぶくぶく茶」 の東京分室主催。
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着物着た後、自分で洗える?手入れはどうしてる?


基本的な着物の手入れ方法

ハンガーにかけて風を通す

 
着た後の着物は、体温で暖まり湿気を含んでいます。まずは陰干しで汗や湿気をとりましょう。そのまましまうと、カビや黄ばみなどの原因にもなります。襦袢も同様です。
ハンガーは着物用のものを使って袖の部分もしっかり風を通しましょう。
 

専用のブラシや柔らかいタオルで表面のほこりを落とす

 
特に刺繍や金箔のある場所は丁寧に、けしてこすらないように!
ブラシは洋服用は着物には硬すぎるので、専用の柔らかいものを使いましょう。

襦袢から半襟を外して洗う

 
素材によりますが、通常はぬるま湯に中性洗剤を溶かし、たたくように洗います。タオルで水気をとったら、陰干しして乾かします。しわにはアイロンをかけましょう。

しみや汚れをチェックする 

しまう前に、シミや汚れがないかしっかり確認しましょう。特に裾、袖口、袖下、襟元などが汚れやすいです。しっかりチェックしましょう。
 

着物の二大悩み、「着付け」と「手入れ」をどうするか


着物は着たいけど、二大悩みが「着付け」と「着た後の手入れ」ではないでしょうか。
着付けは習えるけど、着物の手入れって結構悩むポイントですよね。

以前、正絹の着物をそのまま洗濯機に突っ込んじゃって(!)縮みまくったという話も聞いたこともあります。だからといって毎回クリーニングに出すのは予算的に厳しいっていうこと、よくあると思います。

そこで、ここで普段に着物を着る私がどうしてるか、をちょっとご披露してみますね。

単衣の着物は自分で洗える?

まず、私は単衣の着物は自分で洗います。
綿の浴衣、麻の着物、場合によっては正絹もです。

理由は、基本的に汗さえ抜いておけば黄変もしないし、着物が長持ちするから。
むしろ汗が染みたままクリーニングに出す方が安心してしまって後から大変だからです。
(クリーニングは油の溶剤で洗濯するようなものなので、水溶性の汚れにはほとんど効果がありません。だから、わざわざ汗抜きとかオプションでやるわけです。)

ただ、これは私が着物の悉皆の勉強をしたことがあるからなので、不安だったらちゃんと信頼できるクリーニング屋さんに相談した方がいいです。
しっかりしたクリーニング屋さんなら、ちゃんと汗対策もしてくれます。

正絹の着物の場合

基本的にたたんで水を通すだけです。ごくごく薄く洗剤を溶かして洗う場合もありますが、絹の繊維は縮みやすいので長い時間水につけておくと単衣といえどもサイズが狂ってきます。
おすすめは浴槽に水を10cmくらい貼って、たたんだ着物を静かに沈めてそのまま上げて、バスタオルなどで水分をとったら陰干しする方法です。
脇だけに霧吹きする方法もよく言われますが、輪ジミになりやすいので全体を付けた方が危険が少ない、と私は思っています。
乾いたら当て布してアイロンをかけます。
伸びやすいので、くれぐれも布を引っ張らないようにするのがコツです。

(慣れていないと形を崩しがちですので、万が一でも後悔しない着物で自己責任でやってください。不安なら無理にせず、ある程度着倒したら解き洗いに出した方がよいでしょう。)

綿の浴衣や麻の着物

私は洗濯機で洗っちゃってます。最近の洗濯機は手洗いモードもあるし問題ないですよ。
(昔の二槽式の方はちょっと試してからの方がよいかも・・・)

強い味方がこれです。

 

くるくる巻いて洗うから型崩れなく、手洗いモードで洗濯機任せでOK。とても簡単です。
干すときになるべくしわを手でたたいてとって、着物ハンガーにかけて干します。しわが気になるところは乾いてからアイロンをかけましょう。


普段着物の秘密兵器はこれ


袷の着物や帯はさすがに私も専門業者さんに出します。
でも、毎回出すのは予算もあるので悩みどころ。

そんな私のとっておきの秘密兵器がこれ!
ハイアールアジアの「ラクーン」!!



これが大変優秀なんですよ。
匂いがとれるだけでなく、8時間モードだと雑菌なども除去してくれるらしい。
着た後に一晩これにかけて、その後陰干ししてからしまうと、傷みも少ない気がします。
とってもお気に入りです。

難点はかなり大きくて場所をとることですが、結構値段もこなれてきているようだし、もし頻繁に着物を着る方なら、着た後の気楽さという面でもおすすめです。
クリーニングなどでもオゾン処理してくれるところもあるので、同じような原理なら目に見えない効果もあるのだろうと思っています。

たたんだ形をくずさなければ、着物の手入れはある程度自分でできる

色々な方法がありますが、自分に合った方法を是非探してみてくださいね。基本的にたたんだ状態で水分を通して汗を抜くこと、これにつきます。
そして袷の着物は絶対にそのまま水洗いしない!

どの方法でも自己責任!絶対はないのでこれだけは肝に銘じましょう。

でもね、着た後に「どうしよう」がなくなると、もっと着物が身近になりますよ。


追記 こちらの記事をアップしてからいくつかご質問頂いたので加筆修正しています。ご質問はメールでお願いします。

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着物は年齢関係なく長く着れる、なんてたぶん幻想です

着物は一枚あればずっと着られるってホント?


着物は歳を重ねてもずっと着れるので、どうせならいいものを購入しましょう、みたいな話を耳にしたことはありませんか?

確かに着物って洋服に比べるとサイズ感はゆるやかだし、おばあちゃんやお母さんの着物も、身長問題があまりに大きくなければ着れます。リサイクルも盛んですし、ある意味タイムレスな衣装として認知されているんじゃないかと思います。

でも、実はそうでもないんですよね。
 


若いから、とかわいげ着物を勧められる理由


例えば、茶道のお稽古をしていらっしゃる方なら、最初の一枚として小紋とか色無地をあつらえることが多いのではないかと思います。その際に「若いうちしか着られないんだから、明るい色がいい」みたいに勧められませんでしたか?
自分が紬みたいなシックなものが着たいのに、やたらかわいらしい感じのを勧められたとか、割とよく聞くような気がします。

これ、別にご年配の方が若い人に期待して言うんじゃないんですよ。本当に、若いうちしか着れない色柄、あるんです。例えば、色無地なんて鮮やかな色合いのものは、アラサーアラフォーになると似合わなくなります。リサイクル店にある色無地ってローズピンクとか多いでしょう?

別に、鮮やかな色柄だって年齢を重ねて着ちゃいけないわけじゃないですよ。そんなルールもないですし。
でも、人によっては(例えば私)かなり痛々しくなるので、できたら避けたほうが無難だと思います。
あわせる帯である程度トーンを落とすことも可能ですが、それでも限界はありますから。

ついでに言うと、袖も長めは似合わなくなります。
歳をとったからと袖を短くする方も実際にいらっしゃるくらいです。(余談ですが、袖丈は身長や年齢に合わせて調整するのが普通です。49cmに決まってます!なんていう呉服屋さんに頼むのはやめましょうね。)


帯位置も胸よりも下げた方が大人っぽいです。着物でも若作りってあるので気を付けたいものです。
レースやフリルよりむしろイタく見えちゃうのです。


着物は年齢にあわせて変化させることができる

なにを言いたいかというと、年齢によって着られなくなる着物があるので、着ておいた方がよいということです。
特に鮮やかな色合いやかわいい文様のものは、着れない時期になってから着ておけばよかったなあ、なんて思っても後の祭りです。
大事にとっておいても仕方ないんです。
仕付け糸がついたまま、一度も着てもらえなかった着物がどれだけ私のところにやってきたか、本当にお見せしたいくらいなんですから。

着物は仕立て直しができる衣服です。年齢が上がったら色を掛けて彩度を落としたり、袖丈を短くしたり、そういう意味では長く着ることができます。
でもそれは、最初に仕立てたその状態で、そのままずっと着れるという意味ではないんです。

着れるうちにガンガン着て、年齢や体形に合わせてフレキシブルに変えていく。
それが本当の着物の楽しみ方じゃないかな、と思います。そこまでできたらタイムレス、ですよね。


 

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着物は高い?それとも安い?改めて考えてみる。

着物は高い?安い?


着物は高いのでしょうか、安いのでしょうか。

twitterでもこの議論は定期的に盛り上がっていたりしますね。改めて考えてみました。
 

最初は高いと思っておくほうがいい


いろんな意見があることは承知で言います。
基本的に着物はそこそこ高いもの、とはじめは考えておくほうがよいと思います。

なぜなら、着物は「着物と帯」だけでは着れないからです。(現代風に洋服とMIXする方法もありますが、今回は割愛します。)


そうすると、色々必要なのです。いわゆる専用グッズを襦袢、肌着、半襟、帯締め、帯揚げ、下駄や草履、帯まくら、クリップなどなど。普通に着物を着ようと思ったら、最初はそれなりにそろえなければいけません。これが結構馬鹿にならない。それで「あれ?高いんじゃない?」ってなりがち。

 

ベースができればあとは安く済ませられる


でも、心配しなくても大丈夫です。

高いと感じるのは最初だけです。
一旦、ひととおり着られる環境とグッズをそろえてしまえば、フォーマル以外ほぼどんな着物も着られます。

例えていえば、1本自分にあうデニムがあれば、トップスはユーズドのTシャツでもシルクのブラウスでも着れるでしょう。そんな感じです。

そういう意味でも、私はまずは自宅や実家を探索して使えるものを探すことを推奨しますし、それを元に「着た切り雀セット」の製作を力いっぱいおすすめしているのです。

基本の「着た切り雀セット」があれば、後はそれをベースにしていろいろ楽しめます。
着物を着れるようにさえしておけば、数百円数千円のリサイクルや頂く着物で簡単にやすーく着物ライフが楽しめるわけです。


これがいわゆる着物ラバーによる「着物は安いよ」の正体だと私は思っています。

→「着た切り雀セット」についてはこちらの記事でどうぞ


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帯揚げなしで、気楽に名古屋帯を結びませんか?


帯揚げとは 

着物の着付けに使う小物の一種で、帯結びを形付けるため、もしくは固定するために使用する細長い布のことを指します。一般的に150cm×25cm前後の大きさで、最終的に結び目を帯の間に挟むため、絹など薄手で柔らかい素材が用いられることが多いです。

 

帯揚げの処理って面倒じゃない?


半幅帯は便利ですが、どうしても見た目がカジュアル寄りになるのが気になるときありませんか?
それに、私がデカ女だからかもだけど、半幅帯だとお尻の大きさが目立つような気がするんですよね、これも私だけかもだけど。

名古屋帯も慣れてしまえばそこまで結ぶのに時間はかかりませんが、結構めんどうに感じるのが帯揚げじゃないでしょうか。
急いでいて上手く処理しきれないままだと、例えきれいに着付けていてもぐちゃぐちゃした着姿に見えがちなのが痛い。
それに夏などは帯揚げ一枚だけでも暑さを感じやすいのもマイナスな気がします。特に今年の夏は暑かったですからね。

 

「帯揚げなし名古屋帯」で名古屋帯を普段使いしよう!


半幅帯の気楽さと、名古屋帯のフォーマルさ。
この二つをどうにかいいとこどりできないものかと考えて、はい、生み出しましたよ。

名付けて「帯揚げなし名古屋帯」!

やり方は簡単です。

1.見えてもかわいい腰紐を用意します。
滑りにくくほどけにくい綿素材がおすすめです。


私は着物の色柄に合わせてこのあたりを使っています。

 





2.普通なら帯揚げ&仮紐を通して帯を背負って形を作りますが、その代わりに準備した腰紐を二つ折りにして、二重にして腰紐を帯に通します。


こんな風に二つ折りにして、後ろのお太鼓を作る部分に通します。
(ここでは半幅帯で撮影しています。)

 

3.二重にした輪の部分に反対側を通し、ぎゅっと締めます。

 この半分にした輪の部分に通します。お帯部分を背中にして通したところが前側。
真ん中に身体があるイメージです。

ここでぎゅーっと引っ張ります。

ここ重要!
輪に通しているので、引っ張るだけでしっかり締まるのです。

 
4.帯揚げをきちんと結んで完成!

右もしくは左脇で結んで帯の間にしまいます。


こんな風にちょうちょう結びにして見せても可愛いです。


 



無地ならこんな感じで帯に沿わせて見せれば帯揚げ風。

下着っぽくない腰紐なら、ちょっぴり見えてもおかしくありません。




なお、帯結びはお太鼓結びだとぺったんこになるので、銀座結びとか角出し系の結び方がお勧めです。


いかがですか?
帯揚げがなくてむしろすっきり見えるし後処理も楽ちん。
ちらりと見える腰紐も色々選べばむしろ隠れたお洒落にもなります。
なにより、帯揚げの部分がないので、携帯などもするっと帯に入れられるのが便利この上ない。

結ばない帯結びも流行っていますが、綺麗に折りたたんで形作っていく方法なので、せっかちな私にはむしろ向かないなあと感じます。同じような人、多いんじゃないかなあ。

そんな同志なあなたにおすすめの「帯揚げなし名古屋帯」
ぜひ一度お試しください。

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着物に洋服の靴はむしろ疲れるというお話。

着物の履物とは

 
着物の履物には、草履、下駄、雪駄と大きく三種類があります。 通常、足袋を着装している際には草履や雪駄を履くとされ、下駄は素足で履くため浴衣の際に履くものというイメージが一般的です。しかし特に決められたルールはなく、礼装時以外には自由に選ぶことができます。
 

草履や下駄は痛いもの?


草履や下駄が苦手という方、多いと思います。
特に鼻緒のところは靴擦れ?しやすいし、着物は着たいけどあれがネックという人も、ひそかに多いんじゃないかなと踏んでます。


高いヒールなどでも同じですが、足が痛いってかなりメンタルにきますよね。着物は着たいけど足元はスニーカーじゃダメ?とか、つい思っちゃったりね。


今では二枚歯の下駄でも走れるようになった私でも、バンドエイドが欠かせなかった時代も長かったです。今だってやっぱり可能ならスニーカーの方が楽だと思いますし。

だから、その気持ちはよーくわかります。白状すると、着物に洋装の靴をどう格好良くあわせるか、っていうのも密かに研究しました。だからこそ言います。誤解を恐れず言います。


着物の時に洋装の靴はむしろ疲れる、やめた方がいいんだ、って。



着物にブーツ、ばっちりと思ったけれど

以前、奈良に遊びに行った時です。 いつも通り当然着物で行くことは決めていたものの、旅行中の天気予報はずっと雨の予報。さらには広い春日大社を歩き回る予定だったので、舗装路じゃないのもネック。

はたと考えた末に、はいからさんのごとくブーツをあわせていくことにしました。
少し短めに着付けた着物に、黒の編み上げブーツ。我ながらナイスアイディア!と思ったんです、その時は。


結論から言います。なぜかすごーく歩きにくいんです。そして疲れる。

普段は手で押さえなくてもめくれたりしない前の裾も、巻きスカートのごとくぴらぴらめくれて襦袢が見えてしまうし、なんだか無茶苦茶不快ですっきりしない。

なぜだろう、ずっと旅行中考えていて、はたと気づきました。 

あ・る・き・か・た、が違うんだ!!!

着物の時は、大股では歩きません。少し腰を落として重心を下げ、膝からちょこちょこ歩くようにすると、裾もめくれないし、歩く姿もきれいです。草履や下駄なら、鼻緒をひっかけて地面をするような歩き方になるので、おのずからそういう形になります。

でも、洋装の靴は、比較的大股で腰から歩きますよね。でも着物だとそれができないんです。きちんと着付けていればいるほど、腰回りはしっかり固定されているので、腰から歩くことが難しい。

さらには、靴では下駄のように擦るような歩き方はできませんし、裾つぼまりの着物に合わせて中途半端な歩幅になると自然に歩けない。そう、それが疲れの原因だったのです。

そうか、下駄や草履がああいう形状なのは、着物という衣服にあわせているからなんだ!!
編み上げブーツは、だから袴姿なんだ!!!


着物にスニーカーがダメなわけじゃない

もちろん、足元に洋装の靴をあわせてはいけないとは思ってはいません。最近は洋装ミックスなどもブームなので、そういう履物を選ぶこともありでしょう。


でも気楽に着物を着るためには、やっぱり鼻緒と仲良くできる方が早道なんだと、そう心から理解した瞬間だったのです。


 

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着物の時は歩き方を変えるべし。


着物の時の正しい歩き方とは


着物の時、なんなら浴衣でもいいんですが、やたらと歩いていると裾がめくれてしまう、という現象に悩んでいる人はいませんか。

草履など慣れない履物のせい?
ノンノン!違います。

その悩み、歩き方を変えるだけですんなり解決しちゃうんです。


着物だと重心の位置が変わる


実は体の動きって洋と和では重心の位置が違うんです。

クラッシックバレエみたいな洋物と、狂言なんかの和の文化の動きを比較してみるとよくわかると思うのですが、和の場合、膝をちょっと落として重心を下げます。そして平行的に動いて、体をあまりねじりません。腰を落としているので、ちょこまかとしか歩けません。膝で歩く感じです。


反対に洋の場合、背筋を伸ばし、腰のあたりに重心がきます。体をねじる動きが多いから、自然にそうなるんですね。
それに、腰から動くので膝を曲げずにどちらかというと大股になります。洋装で膝を落としてとぼとぼ歩いているのがすごく恰好悪く見える理屈です。



着物ではちょこまか歩くといい


靴の記事でも書いたけれど、つまり洋服の靴と下駄や草履で歩くのは、そもそも歩く方法が違うってことなんです。これを応用すると、膝をちょっと落として膝からちょこまか歩けばいいってことになります。

そうすると、アーラ不思議。手で押さえてなくても裾がめくれません。走っても大丈夫。(大股ではなく膝でね)
コツは上半身をまっすぐにして垂直に膝を落とすように意識すること。
そのまま水平移動する感じを意識すること。
これで、ものすごく着物の動きがきれいになりますよ。



着物を着るなら、鼻緒と仲良くしよう


ついでにいうと、その時、鼻緒を足の親指とひとさし指でぎゅっと挟んで、ほんの少し地面をするように歩くと鼻緒ずれも起こしにくいです。
この歩き方も膝を落とさないとできないので、まとめて一緒にぜひ試してみてくださいね。


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